「太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは」その4
2008 / 03 / 29 ( Sat )
「悲しみよ こんにちは」読了しました。 映画で見てるので、大体の話はわかってましたが、さすがベストセラーというか面白かったです。センシティブな少女の心の動きというか、純粋さと残酷さが同居している部分がとてもよかった。だけど、「愛人」の後に読むと、ちょっと落ちるなあという気もしました。どっちもそれぞれに良いところがあるとは思うんですけどね。まあ「愛人」はデュラスが年を経てから書いた作品だし、比べてはいけないですけど。 |
「太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは」その3
2008 / 03 / 24 ( Mon )
「愛人 ラマン」読了しました。 「太平洋の防波堤」から続けて読むと、感慨深いものがあります。 「太平洋〜」は、随筆というか、つれづれるがままに…って感じで風景を淡々と描いていますが、「愛人」は、情景をコラージュしたような印象を受けます。時系列も前後してるし、短いながらも小説的な面白さは「愛人」が圧倒的だと私は思います。 ですが、「愛人」まで昇華されていない「太平洋〜」も、また魅力的です。この2つを続けて読めるというのが、この全集の狙いなんだろうか。だとしたら、納得です。
ところで、「愛人」には「狩人の夜」という言葉が出てきます。 これは訳注にもありますが、アメリカ映画「狩人の夜」(原題 The Night of the Hunter)からの引用で、幼い兄妹が恐ろしい殺人鬼に追われる物語です。訳注によると、直接的には「暗殺者」として問題のある上の兄を、間接的には映画でも暗喩されている「母からの逃走」という欲望が表されているそうです。なるほど〜。 映画は1955年に名優チャールズ・ロートンとジェームズ・エイジーにより映画化されましたが、日本では公開されず。本国でも興行成績が悪かったそうで、ロートンとエイジーにとって最初で最後の監督・脚本作品となってしまったことから「呪われた映画」と呼ばれてたそうです。私はリバイバル上映で幸運にも映画館で見ましたが、ものすごく印象的でした。ロバート・ミッチャムの狂気、リリアン・ギッシュの可憐なおばあちゃん姿、死体が水の中の中でゆらゆらと揺らめく映像は、モノクロの分恐ろしさと美しさが倍増…。 ですが、テレビでもう一度見た時はあまり感動しなかった。もしかして映画館向きの映画なのかもしれません。 当時の映画チラシを見つけたので、この映画の呪われっぷりを紹介。 1.公開当時の評判はトリュフォーの評価を例外として最悪 2.テキサスやテネシーでは公開禁止 3.不評のためロートンは二度と監督できず 4.脚本家エイジーは酒の飲み過ぎと絶望から1年後に死亡 5.プロデューサーのポール・グレゴリーもこの映画を最後に消える 6.作曲家のウォルター・シューマンにとって最後の映画作品となる 7.後年「スパイ大作戦」で知られる父親役のピーター・グレイヴスも映画から消える 8.原作者も消える(後述) しかし現在では歴代ベスト映画に3位に入ってたり(イギリスの雑誌Time Out1989年)、スティーヴン・キングが自選の名作映画100選の1本にあげてたりとメジャーになって日の目を見たのでした。めでたしめでたし? 原作はディヴィス・クラップ。1919年アメリカウェスト・ヴァージニア州生まれ。あまり知られてない作家ですが、多分日本で翻訳されているのはこれ1冊だけ。アメリカでも「狩人の夜」1作で有名だそうです。サイコサスペンスのはしりと言われています。 翻訳本は創元推理文庫で出てます(たしか宮部みゆきのプッシュがあっての発売だったはず)。私が持ってるのはトパーズプレス社版ですが、翻訳は同じ方なので大差ないかもです。 |
「太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは」その2
2008 / 03 / 21 ( Fri )
「太平洋の防波堤」読了しました。 思ったよりずっと面白かった。全集に収録されてなかったら一生読むことはなかったかもしれないので、こういう機会があったのは良かったと思います。 でも、この小説の感想ってとても書きにくいなあ。とくにこれといった強烈なエピソードもないし、淡々としてるから…。でもそこが面白いんですけど。 デュラスの家族への思慕も入ってるだろうし、政治的な考えもあれば、女としての自立といったテーマもある。なんとゆーかプリズムのように様々な光を放つ小説といえるかなあ。 感想は三作まとめて書くつもりです。次は「愛人」だっ! |
「太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは」その1
2008 / 03 / 15 ( Sat )
世界文学全集第4巻「太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは」が届きました。 ものすごく厚い!解説含めると600Pもあるじゃないですか!!まあ3作入ってるから…。で中を開いてみると、「太平洋の防波堤」が半分以上(337pまで)。「悲しみよ〜」「愛人」は文庫本でも薄い方だったなあと思い出しました。 さっそく「太平洋の防波堤」を読み始めました。フランス領インドシナが舞台になってます。主人公の家族は植民地インドシナで役人から土地を買い生活を立てようとしますが、その土地は高潮が毎年きて植物を育てられる土地ではありませんでした…ってとこから始まります。 しかし、植民地でそーとーあくどいことしてたんですね、フランスの役人は。 1.役人は農作物を育てられない土地と知りながら売る ↓ 2.とーぜん作物はとれないので、買い手は収入なし ↓ 3.耕作化されてないといって、役人は土地をとりあえる ↓ 1にもどる もし訴えられても、役人なんで異動があったりするから「前任者のことは知らない」だし、耕作可能な土地を買った人からはがっぽりワイロを頂く。本国から遠いのもあってやりたい放題じゃないですか。自国民ですらこの扱いだったのだから、元々住んでいた人たちの扱いは…ひどかっただろうな〜。 この文学全集は小説によって近代史をたどるという側面もありますね。色々考えさせられます。 |
第4巻が来週発売
2008 / 03 / 08 ( Sat )
来週は世界文学全集4巻「太平洋の防波堤/愛人 ラマン/悲しみよ こんにちは」の発売予定です。早いなあ。実は、この巻はあまり楽しみではなかった。だって今さら「愛人」とか「悲しみよこんにちは」ですかって思っちゃって。 そういえば、「悲しみよこんにちは」は読んだことないです。でもNHK-BS2が、「何回目だサガン」ってぐらい何度も何度も映画「悲しみよこんにちは」を放送していたので、全部見なくても話は大体わかってしまった。セシル役のジーン・セバーグがとってもかわいいですよね。アンヌ役はデボラ・カーだったのか〜。 「あらすじで楽しむ世界名作劇場」という番組で日本人が「悲しみよこんにちは」のあらすじを演じてましたが、アンヌ役は榊原郁恵でした。セシル役は知らない女の子(平山あやだった)、お父さんは鶴見辰吾でした。なんだが土曜サスペンスみたいでした。
「愛人 ラマン」は映画もヒットしましたよね。見てませんが。 今回検索してみたら「無修正版」と書いてあるので笑ってしまいました。なんだかエロビデオのような趣きが…。原作は読みました。ヒット映画の原作というので面白いのかなあ…と疑ってましたが、これが結構面白かった。最近のケータイ小説よりもずっと過激でセクシーでスタイリッシュだと思う。装丁をギャル風にして出したら売れるんじゃないの?小畑健が表紙書いた「人間失格」みたいな感じで。 |
「存在の耐えられない軽さ」感想
2008 / 03 / 03 ( Mon )
この小説の語り手は「私はもう何年も前からトマーシュのことを考えている」と言う。この語り手は誰だろうか。読み進めていくと、それは作者だとわかる。作者はさらにトマーシュらは「作者の作り出した人物」ということも語っている。これは小説なのだから当然登場人物は作り物なのだが、それを小説内ではっきり言ってしまってる作品はあまりないと思う。この小説をひとことで「恋愛小説」と呼ぶには複雑すぎる。恋愛だけでなく、哲学、政治などお固いテーマも含まれてるからだ。私はあえていうなら、この本は作者の「思考実験的な小説」なんだと思う。ある架空の男女たちが語る、世の中の事象についての考察。 なので、この小説では時系列がバラバラで、登場人物たちの人生はいったりきたりを繰り返す。その進み方は時間ではなく、彼らと作者の思考にそって進むからだ。思考とはタイムラインに沿ってまっすぐにはすすまない。トマーシュとテレザ、サビナとフランツの人生は、作者の思考の中で奇妙なダンスを踊るかのように描き出される。だが、かといってトマーシュたちは機会仕掛けのような感情のない人間ではなく、もしかしたらどこかにいるんじゃないか、と思わせるような人間らしさと個性を持っていて、そこが何よりこの小説の魅力だと思っている。彼らには共感できないけど、彼らの生き方を見届けたい、そんな気持ちになる。 池澤夏樹はトマーシュたちの老後が見たかったとブックレットに書いてあるが、私はそうは思わない。作者の思考実験の中で踊る彼らは、物語とともに消え行くのがふさわしい。物語の先に、彼らはいない。だからこそ最後のダンスシーンは心に残る。映画「存在の耐えられない軽さ」のラストも好きだったが、小説のラストも好きだ。どちらもそれぞれふさわしいラストだと思う。 |
「存在の耐えられない軽さ」読了
2008 / 03 / 02 ( Sun )
「存在の耐えられない軽さ」読了しました。 面白かった。映画のラストが好きだったのだけど、小説は違うのね。 「キッチュ」がドイツ語というのがなんか意外。 次は感想です。 |
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