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長く、濃い一日を詳細に描く「史上最大の作戦」はやっぱり名作。

ノンフィクション
04 /06 2013
史上最大の作戦 (ハヤカワ文庫NF)
コーネリアス ライアン Cornelius Ryan
4150501874


 キャパの「ちょっとピンぼけ」読んで、そういや「史上最大の作戦」買ってあった…と思い出し、読んでみました。
いやー、面白かったです。ノルマンディー上陸作戦のことは、ほんとに歴史の1行としか知らない自分でもグイグイ引きこまれました。戦記モノでもあるんですが、まさに「史上最大の」兵士がぶつかり合う舞台としてのノルマンディーは、人間ドラマの坩堝でもありました。その人間ドラマをひとつひとつ拾って再構成している本書は、まるでその場にいるかのような臨場感がアリアリです。
 始まりはフランスの小さな村、ラ・ロッシュ・ギュイヨン。静かな場所ですが、長くドイツに占領されています。そこにはあのロンメルが配置されていて、彼は妻のためにドイツに帰る準備をしていました。
また他の場所では、連合軍の暗号をキャッチしたドイツ軍情報部兵士がいました。ヴェルレーヌの有名な詩「秋の日の ヴィオロンの ためいきの」(日本でも上田敏の訳で有名)がラジオから流れ、兵士は上陸作戦が近いことを察します。しかしその連絡はなぜか重要視されません。
また別の場所では、アイゼンハワーが史上最大規模の軍隊を動かすことにプレッシャーを感じ、別の場所ではクロスワード作りでファンも多くいる物理学者が、突然連合軍にスパイ容疑をかけられます。なぜかというと、偶然クロスワードの答えが連合軍の暗号と同じだったからでした。
などなど、全てのエピソードが面白い。ドラマチックです。
このように連合軍、ドイツ軍、民間人、一人ひとりの人間たちがDデイという日に向かっていく姿が詳細に描かれます。

 作者は取材当時に存命していたDデイ関係者に可能な限りインタビューし、資料も集めたそうです。ノンフィクションですが、カポーティの「冷血」のような、ノンフィクションノベルに近いかもしれません。

 有名な1冊なので、とにかく読んで損なしです。映画も見たくなりましたが、たぶん映画だとこの本に出てくるすべての登場人物を描くのは不可能だと思います。(2013.3.30)

ぎんこ

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