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巨大戦艦モノ2冊「戦艦大和ノ最期」「軍艦武蔵」

ノンフィクション
05 /27 2013
戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫)
吉田 満 鶴見 俊輔
4061962876


 今年の春から「宇宙戦艦ヤマト」が「宇宙戦艦ヤマト2199」というタイトルでリメイク、放送されています。
懐かしいな〜と見てたらふと、そういえば「戦艦大和ノ最期」を積んだまま読んでなかったことを思い出し、手にとってみました。
 当時21歳だった作者、吉田満が戦艦大和に乗り込み、沈没するまでを描いたノンフィクションです。終戦後に一気に書き上げたそうで、かなり記憶は新しい状態だったのではないかと思います。
戦争文学の傑作として名高い本書ですが、文語体で書かれているので敷居が高く感じられます。しかし、音読するといいと聞き、さすがに口に出して読むのは無理でしたが、頭の中で音読してみると、なんとなく大丈夫です。

 戦艦にはたくさんの人間が乗っており、それぞれのドラマが切ないです。恋人に自分が死んでも幸せになってほしいと願う姿は、ある意味自己陶酔とも言えるかもしれません。しかし、事実上聯合艦隊が消滅し、巨大戦艦も無用の長物となってしまった当時、大和で出撃することは特攻という片道切符であることはみなわかっていたのだと思います。
そんな絶望的状況の中、若い兵士が思うことは、自分の死で誰かが救われるのだとか、多少ロマンチシズムがあって当然じゃないか、そうやって自分の死が無駄でないことを願うのは当然じゃないかと思います。

 出版された時は戦争賛美という批判もあったそうですが、作者があとがきに「戦争肯定だと批判する人は、じゃあ我々はどうすればよかったのか教えていただきたい、戦争忌避して死刑になればよかったのか、戦場で無責任に振る舞えばよかったのか?」と書いてあるのは最もだと思います。戦争はいやだ、死ぬのはいやだ、でも職務に忠実であった若者たちが生きた姿、死にゆく姿がここに書かれているからこそ、傑作になったのだと思います。


軍艦武藏〈上〉 (新潮文庫)
手塚 正己
4101277710


軍艦武藏〈下〉 (新潮文庫)
手塚 正己
4101277729


 悲劇の戦艦として有名な「大和」ですが、大和の姉妹艦「武蔵」という船がありました。
この「武蔵」の乗組員を中心に、映画撮影のため制作者が取材したものをまとめたのが「軍艦武蔵」(手塚正己)です。
上下2巻もあり(1冊600頁ぐらいあるよ)かなりの大ボリューム。しかも戦艦武蔵だけでなく、他の駆逐艦などのことも書いてあるし、多少時間も前後しているので、読むのはかなり大変でした…
しかし、下巻は「武蔵」が沈み、生き残った人たちはどうなったのか詳細に描いています。「タイタニック」もそうですが、巨大な船が沈む、というのは、極限状態の緊張感、ドラマ性があります。武蔵でも様々なドラマが起こり、そして助かった人たちもさらに苦難が待ち受けています。次に乗った船がまた沈んだり、フィリピンに取り残されて飢餓状態に陥ったり…

 武蔵にまつわる物語は戦後まで描かれてます。生き残った者の人生、死んでしまった者の人生、涙なくては読めないエピソードもありました。また、権力を傘に来ていじめていた者が、緊急事態になっていじめていた方に見放されたり、部下に一喝されてしまう上司など人間くさいドラマもありました。
戦争というものはもちろんしてはいけないし残酷で辛いものなのですが、戦争という生死のはざまで人間の醜いところ、また美しいところがぎゅっと凝縮されています。だから自分は戦争文学に惹かれるのかもしれません。(2013.05.27)

ぎんこ

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